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身寄りがない人が亡くなった際の家財道具処分はどうする?
超高齢社会となった現在の日本では、ひとりで生活を送る「独居老人」が増えています。少子化、晩婚化、夫婦共働き世帯の増加などの影響を受け、生涯独身であったり、結婚しても子どもはいなかったりする人が増え続ける傾向にあります。
ひとりで暮らす高齢者の中には、身寄りがない人も多く、亡くなった時に様ざまな問題が発生することがあります。
この記事では、身寄りがない人が亡くなった際の問題点のひとつとして、「家財道具の処分」について解説していきます。
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身寄りのない人が亡くなった際の問題点
身寄りがない人が亡くなった場合、どのような問題が発生するのでしょうか?
身寄りがないとは
身寄りがない」とは、家族や親類が一人もいない状況を指す言葉です。それ以外にも、家族や親類がいても疎遠になっていて連絡がつかなかったり、関係が断絶していていざという時に支援が受けられない人は「身寄りのない人」になります。社会的に孤立した人のことを指し、高齢者のみならず若者であっても「身寄りがない人」となる可能性があります。
問題① 孤独死で発見が遅れる
ひとりで暮らしている人が、誰にも看取られずに自宅で亡くなることを孤独死といいます。男女で比べると男性の方が孤独死する割合が高く、特に60代の男性の孤独死数が多いという調査結果があります。
孤独死の多くは発見までに時間がかかるため、遺体の腐敗が進むことによる異臭や、体液の付着による部屋の汚れなどへの対応が必要となってしまいます。
問題② 葬儀や埋葬は誰がするのか
身寄りがない人であっても必ず火葬、埋葬を行わなければなりません。役所が故人の戸籍をたどって親族を探し、遺体の引き取りを依頼します。
親族がひとりもいなかったり、遺体の引取りを拒否されてしまった場合には近隣住人や大家さん、入居施設の代表者などが葬儀、埋葬を引き受けてくれるケースもあります。
最後の手段として、自治体が法律に基づいて火葬、埋葬を行うことになります。
問題③ 遺品整理に手間がかかる
亡くなった人が自身の死後について何も手続きをしていなかった場合、自治体は火葬は行ってくれますが遺品整理や財産整理までは行いません。
故人にある程度の相続財産がある場合には、利害関係にある者が家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任を申し立てることで遺品整理を行ってもらうことができますが、相続財産がなかったり、あっても少額の場合は賃貸オーナーなどが遺品整理の負担を負うことになります。
身寄りがない人の家財道具の処分はどうする?
身寄りがない人が亡くなった際に問題となることのひとつである「家財道具の処分」について、どのような対処法があるのか解説していきます。
家財道具とは
家財道具とは一般的にいうと、家にある一般動産のことです。家具や家電をはじめ、衣類、寝具、書物、貴金属、自転車など品目は多岐にわたります。
対処法① 法定相続人を探す
亡くなった人が所有していた家財道具の所有権は、相続人へと移ります。そのため、生前に「身寄りがない」といっていたとしても、本当に相続人に該当する人がいないか確認する必要があります。親族はいるが疎遠になっているというケースは多くみられます。その場合、第三者が勝手に家財道具を処分してしまい、あとから親族と名乗る人が「思い出の品を勝手に処分された」と訴え、訴訟に発展することもありえます。
相続人がいないか確認するには、亡くなった人の戸籍謄本を出生からすべて集める必要があり、大変な手間と時間がかかりますが、まずは相続人の有無を確定させましょう。
対処法② 権限を持った人が処分する
親族がまったくいない場合でも、本人が亡くなる前に遺言書を作成しており、その中で遺品整理についての権限を与えることを明記していると、遺言執行者が家財道具の処分をすることが可能となります。
また、賃貸物件への入居や入院、介護施設への入所などに際して身元保証の契約を交わしていた場合、別途死後の手続きに関しての契約を結んでおけば、身元保証人が家財道具の処分を行うことも可能となります。
対処法③ 相続財産管理人を選任する
相続財産管理人とは、相続人がいない、いても全員が相続を放棄した場合に、相続人に代わって遺産を管理する人です。
家財道具を相続財産と不用品とに仕分けし、価値のないものについては廃棄処分することができます。
相続財産管理人の選任は、利害関係にある人(賃貸オーナーや内縁者など)が家庭裁判所に申し立てることで行われます。相続財産管理人は遺産の調査や相続に関する職務を行うため、弁護士などの専門家が選任されることが多いです。
相続財産管理人選任の申し立てには、法定相続人となりえる人のすべての戸籍謄本の提出や、予納金と呼ばれる相続財産管理人の経費や報酬となる多額の現金が必要となります。
そのため、亡くなった人に相続財産が存在しなかったり、あっても少額な場合は相続財産管理人の選任は行われないケースがほとんどです。
家財道具処分に関する3つの注意点
身寄りのない人の家財道具処分において、気をつけたい点を3つ紹介します。
死後事務委任契約を締結しておく
死後事務委任契約とは、本人の死後に発生する相続手続き以外の各種手続きを任意の第三者に委任する契約です。
具体的には、以下のような死後事務を細かな内容で委任しておくことができます。
・死亡届や年金の受給停止などの行政手続き
・関係者への死亡連絡
・葬儀、埋葬の手配
・未払いの家賃や医療費などの清算
・家財の処分、遺品整理
気をつけたいのは、「生前に身元保証契約や任意後見契約を結んでいるから大丈夫」という勘違いです。身元保証契約や任意後見契約は基本的に本人が生きている間に効力を発揮する契約であり、本人が死亡した時点で契約は終了してしまいます。
家財道具の処分についての依頼をしたい場合は、別途、死後事務委任契約を結んでおきましょう。
代行業者を選ぶ際には費用と内容を確認しておく
身寄りのない人が、家財道具の処分を前もって代行業者に依頼しておくことは可能です。代表的な業者として、「遺品整理専門業者」と「不用品回収業者」があります。
それぞれにサービス内容や料金体系に違いがあるため、希望に合った業者を選ぶことが大切です。
遺品整理専門業者
文字通り遺品を専門に扱う業者です。遺品の仕分け、整理から部屋のクリーニング、家財や不用品の処分まで幅広い内容のサービスを提供しています。
遺品の取り扱いに関する専門家なので安心して任せることができます。その中でも、遺品整理士認定協会から優良事業所として認定を受けていたり、認定は受けていなくても、遺品整理士の資格を持ったスタッフが在籍している業者を選ぶのがよいでしょう。
料金は部屋の広さによって設定されているのが一般的です。ひとり暮らしの人であれば10万円~20万円ほどは必要になるでしょう。
不用品回収業者
不用品回収業者も遺品となった家財道具の処分に対応しています。遺品の仕分けが必要ない場合などは、不用品回収業者に家財道具の処分を頼むことで比較的簡単に終わらせることができます。
料金体系は間取りに対してではなく、引き取る物量に対して設定されているパターンが多いです。2tトラック一台分の家財道具を処分してもらうと想定すると、8万円~10万円ほどが相場となります。
「財産管理契約」を結んでおく
財産管理契約は、本人に代わって第三者が財産の管理に関する一部あるいは全部を行う委任契約です。
通常は本人が死亡した時点で契約は終了しますが、特約で死後の事務を委任することも可能です。第三者に家財道具の処分を委任する場合、処分費用を財産から確実に持ち出せるようにするために結んでおいた方がよい契約です。
まとめ
身寄りがない人が亡くなった際、生前に死後の手続きに関する契約をしていないと賃貸物件のオーナーや身元保証人となっていた人などに迷惑をかけてしまうことになりかねません。家財道具の処分に関しても処分する権限や、費用の負担などクリアにしておく事項がたくさんあります。
事前準備するとしても専門的な知識も必要となるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談するのがよいでしょう。
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