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高齢者向けの身元保証サービスとは?
少子高齢化が進む日本では、高齢者の単身世帯や高齢者夫婦のみの世帯が増え続けています。
「老人介護施設に入所する際、身元保証人を求められたけど、頼める人がいなくて困った」なんて話を聞いたことはありませんか。
身元保証を頼める人が周りにいないからといってあきらめる前に、「身元保証サービス」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事では、高齢者に向けた身元保証サービスとはどのようなサービスなのか解説していきます。
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身元保証サービスが必要な人
「身元保証」というと、世間で広く知られている意味合いとしては、会社などに就職する際、雇われる人が会社に損害を与えた場合に、その賠償を第三者である身元保証人が担保することを指す言葉です。
今回のテーマでは高齢者を対象としていますので、就業に関することではありませんが、様ざまな場面で、当事者である高齢者が対処できない様な状況が発生した時でも、本人に代わって対処してもらえるのが身元保証サービスです。
身元保証サービスを必要とする人は、主に次の2つのケースに当てはまることが多いです。
一人暮らしの高齢者である
総務省による統計では、65歳以上の高齢者人口は2021年時点で3640万人で、人口比率としては29.1%を占めるという結果が出ています。さらに、2040年には35.3%にまで上昇すると予測されており、超高齢化社会に歯止めのかかる気配はありません。
高齢者のうち、一人暮らしの人口は2015年時点で562万人に達しており、男女別では男性179万人に対して、女性は383万人と男性の2倍以上となっています。65歳以上の男性の8人に1人、女性は5人に1人が一人暮らしをしていることになります。
一人暮らしの高齢者の中には、「身寄りがなくて身元保証人を立てられない」といった問題を抱えている方も多数みえます。
親族がいても頼みづらい
親族はいるものの頼みづらいという方もいます。「ずっと連絡を取ってなく疎遠だ」「子供に責任を負わせたくない」「何かある度に遠方から来てもらうのは申し訳ない」など理由は様ざまですが、「身寄りがあっても身元保証人を立てられない」というケースもあるのです。
高齢者の身元保証サービスが必要になる場面
高齢者が身元保証サービスを必要とする場面は、主に次の3つの場面になります。
賃貸住宅を借りるとき
賃貸住宅を借りる際に、保証人や連帯保証人が必要となるのは高齢者に限ったことではありません。家賃の滞納や設備の破損の弁償金などで借主が対処できない場合に、借主に代わって対処してもらうためです。
ただし、高齢者が賃貸住宅を借りるとなれば、金銭的なこと以外にも問題となることが出てきます。突然の入院により連絡がつかなくなったり、孤独死といった問題がそれに当たります。そのため、保証人となるには「年齢が借主よりも若い世代」「経済力が安定している」「遠方に住んでいない」などの条件が加わることもあり、高齢者にとって保証人を見つけにくい要因にもなっています。
入院するとき
厚生労働省研究班が2018年に全国の医療機関約1,300箇所を対象に行った調査では、「入院時に身元保証人を求める」と回答した医療機関は実に65%に上りました。医療機関が保証人を求めるのは以下のような理由によります。
・支払いの保証
・医療行為への同意
・遺体や遺品の引き取り
高齢者であれば病状が悪化したり急変するリスクが高くなるため、病院側も対応できる方を把握しておきたいという事情があります。
介護施設に入居するとき
介護施設への入居時にも、病院への入院と同様に身元保証人が必要となります。
何かあった時の緊急連絡先となる他、治療が必要となれば病院との手続きを行ったりもします。当然のことながら、介護施設の利用料の支払いに対する保証もあります。
施設によっては、身元保証人と連帯保証人を1人ずつ求める施設もありますので、事前に確認しておいた方が良いでしょう。
身元保証人の役割
身元保証人が担う役割は、大きく分けて4つあります。
金銭の支払いにおける経済的保証
住宅の家賃であったり、施設の利用料、病院での治療代や入院費用など、本人が支払うべき料金に対して支払い能力がなくなった時には、本人に代わって身元保証人が債務を負うことになります。
緊急時の連絡先
高齢者であれば持病が急激に悪化したり、ちょっとした転倒でも大けがにつながったりするのはよくあることです。
容態の急変時や事故発生時には、身元保証人が緊急連絡先となります。
治療・介護方針の確認
治療や介護の方針を決めるにあたって、本人の意識がもうろうとしていたり認知症であったりと判断能力が著しく低下していることがあります。身元保証人は本人に代わって治療法などを判断する権限はありませんが、医師や介護チームとの話し合いに参加し方針を決めていくことになります。
死亡後の手続きや身柄の引き取り
高齢者が亡くなってしまった場合、遺体の引き取りや葬儀の手配を行ったりします。また、遺品の引き取りや、未払いの料金がある場合には清算まで行います。
身元引受人や成年後見人との違いは?
身元保証人と同じようなニュアンスで使われる言葉に「身元引受人」や「成年後見人」があります。それぞれの違いについて説明します。
身元引受人
身元保証人と身元引受人の間に明確な線引きはなく、その資格や責任については施設により異なります。両者ともまったく同じ意味合いで定義されている施設もあれば、身元保証人は「支払いの債務を保証する人」、身元引受人は「退所する際に身柄を引き取る人」という意味で使っている施設もあります。契約書に書かれている権利義務の項目をよく確認し、あいまいな表現であればきちんと説明を受けるようにしましょう。
成年後見人
成年後見人とは、認知症などにより判断能力が失われた人に代わって、契約を締結したり、財産の管理、各種手続きを行う人を指し、民法において定められた法律上の制度です。(成年後見制度)成年後見人には「任意後見人」と「法定後見人」の2種類があります。両者の違いは、後見人として選出する時期によるものです。
任意後見人は、被後見人がまだ判断能力があるうちに前もって選出しておく後見人で、被後見人が選ぶことができ、どこまでの権利を任せるのかあらかじめ決めておくことができます。
法定後見人とは、被後見人の判断能力が失われた後に選出される後見人で、あらかじめ提出した候補者名簿の中から、適任と思われる人を家庭裁判所が決定します。
一見、身元保証人と同じ役割にも思えますが、成年後見人は高齢者本人に代わって財産を管理する「法定代理人」ですから、債務を保証する身元保証人になることはできません。
身元保証サービスの内容
身元保証サービスを提供しているのは一般社団法人やNPO法人、民間企業などがあり、それぞれにサービスの特徴や内容が異なります。基本的な身元保証である「支払いの保証」「緊急時の対応」の他に、次の様なサービスを行っていることが多いです。
日常生活支援
自宅、病院、介護施設など利用者の状況に合わせて、日常生活に必要なサポートを行います。
・定期的に電話や訪問をし安否確認
・入院や施設入所に際しての手続きおよび身の回りのサポート
・外出(病院受診・買い物など)時の付き添い
・各種手続きの立ち会い、代行
・郵便、宅配物の管理
・金銭、財産の管理
死後事務支援
死後に必要となる事務作業を代行します。
・病院や施設からの身柄引き取り
・親族、友人などへの死亡連絡
・葬儀や納骨の手配
・行政機関への届け出(死亡届、年金の停止、保険証の返却等)
・未払い代金の清算(家賃、医療費、入院費、施設利用料等)
・電気、ガス、水道、携帯電話などの契約解除
・家財道具や生活用品など遺品の引き取り、処分
これらは身元保証とは別に料金設定されていることが多いので、サービスを受けようと思う方は事前に確認するようにしましょう。
高齢者が身元保証サービスを利用する際の注意点
身元保証サービスは、提供する団体や企業によってサービスの内容は様ざまです。利用を始めてから「思っていたのと違う」と後悔したり、依頼先とのトラブルになるようなことは避けたいものです。身元保証サービスを利用するにあたっては、次のことに注意しましょう。
自分が受けたいサービスを明確にする
自分がどこまでのサービスを受けたいのか決めておくことが大切です。入院や入所に対する基本的な身元保証のみなのか、生活支援や死後の事務代行まで必要としているのか、契約前に明確にし、伝えるようにしましょう。
自分の支払い能力に合ったサービスを受ける
サービスの中には、都度料金が発生するものもあります。初期費用の他に月々にかかる費用まで見積もりを取り、自分の資産状況と照らし合わせたうえで利用プランを立てるのが良いでしょう。
契約内容をしっかり把握する
契約内容は、口頭で説明されたことと同じ内容が契約書に記載されているかしっかりと確認するようにしましょう。あわせて、契約内容の変更や解約についての確認も行い、文書で保管できるようにしましょう。
まとめ
高齢者に身元保証人が求められるケースは、「賃貸住宅への入居」「病院への入院」「介護施設への入所」の3パターンです。
身寄りのない高齢者が増加している現代では、「身元保証人を頼める家族がいない」「いても頼みづらい」といった悩みを抱えている高齢者はたくさんいます。
家族に代わって身元保証を引き受けてくれるのが「身元保証サービス」で、サービス内容は身元保証のみに留まらず、生活支援や死後支援まで行ってもらうことが可能です。
今の生活、これからの生活に不安な気持ちを少しでも抱いているなら、一度相談してみてはいかがでしょうか。
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