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身寄りがない人の入院はどうなる?身元保証の考え方
高齢者になれば、ケガや病気による入院のリスクが高まります。多くの病院では、入院の際、身元保証人を求められることになりますが、周りに頼れる人がいない高齢者が増え続けています。
この記事では、身寄りのない人が入院することになった時の対処法を紹介すると共に、身元保証サービスについて解説します。
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「身寄りがない人」とは?
「身寄りがない」とは、家族や親類が一人もいない状況を指す言葉です。それ以外にも、家族や親類がいても疎遠になっていて連絡がつかなかったり、関係が断絶していて支援が受けられない人は「身寄りのない人」になります。社会的に孤立した人のことを指し、高齢者のみならず若者であっても「身寄りがない人」となる可能性があります。
身寄りのない高齢者には以下のような問題が生じます。
日常生活での困りごとを頼めない
力仕事や高所作業などのちょっとした作業や、体調を崩した時の家事などを頼むことができず困ることがあります。
緊急時の発見が遅れる・孤独死
身寄りのない高齢者が一人暮らしをしている場合、大けがや突発的な病気で倒れて動けなくなった時の発見が遅れがちとなります。最悪の場合、そのまま孤独死となることもあります。
犯罪に巻き込まれやすい
犯罪の手口は多種多様化しており、空き巣などもその家の状況を事前に調べたうえで犯行におよぶといわれています。人の出入りの少ない高齢者宅は狙われやすくなります。また、特殊詐欺や悪徳商法に対しても、相談する相手のいない高齢者はだまされやすくなります。
身元保証人がいない
病気で入院したり、老人ホームなどに入居しようとする際には身元保証人を求められることが多くあります。家族や親類がいない、いても頼める人がいない場合、成年後見制度や身元保証会社を利用する必要があります。
入院に身元保証が必要な理由
かつては身元保証人がいないと入院を断られることもありましたが、2018年に厚生労働省が「身元保証人がいないことを理由に入院を断ることは、医師法19条1項に抵触する」との見解を出して以降、入院拒否の対応を取る医療機関はほぼ無くなりました。
とはいえ、現在でもほとんどの医療機関で入院時に身元保証人を求められます。医療機関側としては、身元保証人がいないと安心して患者を受け入れることができないという事情からです。
医療機関が身元保証人に求める役割には、次のようなものがあります。
債務の保証
入院患者本人が入院費用や手術費用を支払えない場合、連帯保証人として申請した身元保証人が代わりに支払うことになります。多くの場合、限度額が設定されており、請求された場合にはその金額までは支払う義務があります。
緊急時の連絡先
入院患者に何かあった時の緊急連絡先となります。「本人から何か要望がある時」「本人の体調が急変した時」「医療機関から何か連絡が必要な時」などに連絡が入ります。
医療行為の同意
治療方針や治療方法の説明の際には、身元保証人も同席を求められます。身元保証人には、治療法を決定する権限はありませんが、本人の意識がもうろうとしていたり認知症であったりと判断能力が著しく低下している場合には、医師との話し合いに参加し方針を決めていくことになります。
退院時の身柄の引受け
入院期間が終了し退院する際、寝たきりや認知症などで一人で退院することが困難な場合があります。その場合には、身元引受人として退院を手伝う必要があります。
遺体および遺品の引取り
入院患者が不幸にも入院中に亡くなった時には、身元保証人が遺体を引き取ることになります。とはいえ実際に遺体を運ぶわけではなく、葬儀会社に連絡して安置所まで遺体を運ぶ手続きを取ります。医療機関に持ち込んでいた私物などの遺品の引き取りも身元保証人の役割のひとつです。
身元保証人が見つからないときの対処法
身寄りがなく、身元保証人を頼める知人や友人もいない場合、どうすればよいのでしょうか。対処法を4つ紹介します。
連帯保証以外の方法がないか確認する
医療機関が身元保証人を求める最大の理由は、入院に関わる費用を確実に回収するためです。そのため、医療機関によっては連帯保証人がいなくても以下のような代替処置を取っている所もあります。
・クレジットカード番号を登録し、クレジット払いにする
・入院時に入院保証金を支払う
・年金の受取口座などの口座振替で支払いを行う
・生活保護の申請を行う
入院する医療機関に、これらの選択肢があるか確認しましょう。
自治体や地域包括支援センターに相談する
各市区町村に設置された、自治体の相談窓口や地域包括支援センターに相談する方法もあります。地域包括支援センターは医療・介護・福祉などの総合的な無料相談窓口となっており、身元保証についても相談にのってもらえます。
ただし、自治体が身元保証を引き受けてくれるわけではなく、身元保証人の不要な医療機関の紹介、成年後見制度の利用提案などを行います。
成年後見制度を利用する
成年後見制度とは、障害や認知症などにより判断能力が十分でない人に代わって、財産管理や入院などの手続きを後見人が行う制度です。
成年後見制度には、本人に十分な判断能力があるうちに後見人を決めておく「任意後見制度」と、判断能力が不十分となった後に家庭裁判所が後見人を決める「法定後見制度」があります。
身元保証サービスを利用する
民間の身元保証サービスを利用する方法もあります。利用料を支払うことで、身元保証人としての役割をすべて提供してもらうことが可能です。また、生活支援や死後事務なども依頼することができます。
身元保証サービスとは
身元保証サービスは、主に身寄りのない高齢者に向けたサービスです。「身元保証」のほか「生活支援」「死後事務代行」といったサービスを提供しています。
身元保証
・利用者が支払うべき料金(入院費用や手術費用)を支払えなくなった時、利用者に代わっ て債務を負う
・緊急連絡先として登録し、緊急時に対応
生活支援
利用者の状況に合わせて、日常生活に必要なサポートを行います。
・安否確認を兼ねて定期的に電話連絡や訪問を行う
・病院への入院に際して、必要な手続きを行うとともに身の回りのサポートも行う
・外出(買い物など)時の付き添い
・金銭、財産の管理
・介護保険などの認定調査での立ち会い
死後事務代行
死後に必要となる事務作業を代行します。
・病院からの身柄引き取り
・親族や友人・知人への逝去連絡
・葬儀や納骨の手配、遺品の引き取りおよび処分
・行政機関への届け出(死亡届、年金の停止、保険証の返却等)
・未払い代金の清算(医療費、入院費等)
・電気、ガス、水道、携帯電話などの契約解除
身元保証サービスを提供しているのは、一般社団法人や公益社団法人、NPO法人、民間の株式会社などがあります。それぞれでサポートしてもらえる範囲や、プラン、料金に違いがあるため、自分の目的に合った団体、企業を見つける必要があります。
トラブルにならないよう注意すべき点
身元保証サービスは、サービスを提供している団体や企業によって特徴が異なり、内容や料金も様ざまです。事業者とのトラブルを避けるためにも、サービスを利用するにあたっては次のことに注意しましょう。
自分が受けたいサービスを明確にする
自分がどこまでのサービスを受けたいのか決めておくことが大切です。入院に対する基本的な身元保証のみなのか、生活支援や死後の事務代行まで必要としているのか、契約前に明確にし、伝えるようにしましょう。
支払い能力に合ったサービスを受ける
サービスの中には、毎回料金が発生するものもあります。初期費用の他に月々にかかる費用まで見積もりを出してもらい、自身の資産状況と照らし合わせたうえで、無理のない利用プランを立てましょう。
契約内容をしっかり把握する
契約書はすべての項目に目を通すと共に、疑問な点があれば必ず担当者に確認しましょう。あわせて、契約内容の変更や解約についての確認も行い、文書で保管できるようにしましょう。
まとめ
現在では、身元保証人がいなくても入院を断られることはありません。ですが、元気なうちに成年後見制度や身元保証サービスについての情報を収集し、対応できるようにしておくことで、いざという時に安心して入院できます。余裕をもって準備を進めるようにしましょう。
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