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定年後に住宅ローンが残ってしまう?老後破産のリスクとは?
「人生で一番大きな買い物は?」と聞かれたら、マイホームと答える人は多いと思います。
一括購入できる人はわずかで、ほとんどの人がローンを組んで購入することになります。
収入が不安定となる定年後に住宅ローンが残っていると、家計に大きな負担となるのは明らかです。
この記事では、老後に住宅ローンを抱えた場合のリスクと対処法について解説します。
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老後の住宅ローン事情とは
1995年に男性28.5歳、女性26.3歳だった平均初婚年齢が、2018年には男性31.2歳、女性29.6歳まで引き上がっています。この数字からも分かるように、今日では晩婚化の傾向が顕著であり、それに伴い住宅ローンを組む年齢も高くなっています。
国土交通省が2022年に発表した資料によると、2021年度の住宅取得平均年齢は40歳を超えています。ローン返済期間の平均が30年強であることと合わせて考えると、ローン完済時の年齢は70歳を超えることになります。
2021年4月に改正された「高年齢者雇用安定法」では、それまで65歳としていた定年延長や再雇用、定年の廃止を70歳までとする努力義務が追加されました。
65歳まで働いた場合で退職後5年〜10年、70歳まで働いたとしても退職後数年は住宅ローンの返済が続くのが現状です。
老後のローン返済方法
老後に住宅ローンが残っている場合、どの様な返済方法があるのでしょうか?
退職金で払う
企業に雇用されて定年まで働いた人は退職金を受け取ることができます。企業にとって退職金制度は義務ではありませんが、ほとんどの企業では福利厚生のひとつとして就業規則に定めています。
もらえる退職金の額は、企業の規模や勤続年数によって大きく違ってきます。高卒、大卒で入社し定年まで同じ企業に務めた場合、大企業であれは約2,000万円、中小企業だと約1,000万円が平均値となります。
この退職金で残りのローンを一括返済する人もいれば、ある程度繰り上げ返済して金利を減したり、月々の返済の元手にあてる人もいます。
年金で払う
老後の主な収入である年金からローンを払う方法があります。
厚生労働省の発表によると、2020年度末の時点での月々の年金平均受給額は、国民年金が約5万6,000円、厚生年金が約14万6,000円となっています。単純に計算すると、夫が会社員、妻が専業主婦であった場合は約20万2,000円、自営業を営んでいた夫婦であれば約11万2,000円の受給になります。
現役で仕事をしていた時の収入と比べると、少なくなってしまうことがほとんどなので、年金からローンを払う場合は家計を圧迫することになるでしょう。
貯金を切り崩して払う
老後の資金として貯めた貯金を切り崩して払う方法です。
貯金で一括返済が可能な場合、月々の金利の返済が不要となるため返済総額を減らすことができます。
ただし、一括返済をすることで手持ちの現金が減ってしまい、大きな病気や家の修繕など突発的な出来事があると貯金が一気に底をついてしまう恐れもあります。
ローンが払えない時の対処法
老後にローンが払えなくなった場合、どの様な対処法があるのか説明します。
再雇用や再就職で収入を得る
高年齢者雇用安定法により70歳までの再雇用が努力義務となった今日では、健康であれば、ある程度の年齢までは働いて収入を得ることも難しくはありません。
ただし、現役の時のような収入を得ることは難しいです。厚生労働省の発表によると、定年直前の賃金を100とした場合、再雇用された初年度の賃金は平均で78.7となり、その後も減少する傾向にあります。
金融機関に相談する
金融機関に、現在組んでいるローンの返済期限の延長を相談し、月々の返済額を減らしましょう。返済期間が35年を超えない限り、多くの金融機関では返済期間の延長を認めてもらえます。
ただし、返済期間を延長することで金利の支払いが増え、最終的な返済総額は増額することになります。
自宅を売却する
思い切って自宅を売却し、子どもとの同居や賃貸物件へ引っ越すという方法もあります。
「ローンが残っている状態では売却できないのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、次の2つの条件を満たせば売却することができます。
・住宅ローンが完済できること
・抵当権の登記を抹消すること
自宅の売却でローンの完済を考える場合は、ローン残高と自宅の売却価格をできるだけ正確に把握することが重要です。
リースバックを利用する
リースバックとは、自宅を不動産会社やファイナンス会社に売却し、一括で現金を得たあと、賃貸契約を交わして、そのまま住み続けることができる仕組みです。
住み慣れた家に今まで通り住み続けられるので、引っ越しなどの手間がかかりません。
持ち家ではなくなるため、固定資産税や都市計画税などの納税はありません。マンションであれば、管理費や修繕積立金などの支払いもなくなります。
ただし、住み続ける限りは毎月家賃の支払いが発生することになります。
老後にかかるお金
定年後はそれまでと比べて収入がかなり減ってしまいます。公的年金の受給額も減少傾向にある中、どれだけのお金が必要となるか不安に思う人も多いでしょう。
2019年に金融庁が「老後30年間で2,000万円必要になる」と発表したのは記憶に新しいと思います。実際2,000万円必要かどうかは、年金の受給額や老後のライフスタイル、病気や介護の程度など様ざまな要因によって違ってくるので、一概にそうだとはいえません。
一般的に老後にかかるお金としては、生活費のほかに家賃や持ち家の修繕費、旅行や趣味などの娯楽費、入院費や手術費、介護費、子や孫への援助費などが挙げられます。
その中で大きな割合を占めるのが生活費です。総務省統計局のデータによれば、2021年度における老後の生活費は独身者が約15万円、夫婦二人だと約26万円となっています。
老後破産とは
老後破産とは、定年後の生活において、年金や預貯金だけでは家計を維持することができなくなり、日々の生活が困窮した状態になることをいいます。
「年金の受給額や預貯金が少ない人だけが老後破産する」と思っている人もいるかもしれませんが、老後破産の可能性は誰にでもあります。
なぜ老後破産に陥ってしまうのか、詳しく解説していきます。
老後破産の原因
老後破産に陥るのには決まった原因があります。
支出が収入をオーバーしている
定年後は現役の時と比べて収入が減ってしまいます。現役の時と同じような生活をしていると、当然毎月の家計は赤字となってしまいます。退職金や預貯金などの老後資金から足りない分を補填することになりますが、年金受給額とあまりにもかけ離れた水準の暮らしを続けると、短期間で老後資金を食いつぶすことになり、生活が困窮することになります。
住宅ローンの返済が残っている
老後に住宅ローンが残っていると、それだけで家計の負担が大きくなります。
晩婚化により40歳を過ぎてから住宅ローンを組む人が多くなっています。そのため、定年後も住宅ローンを抱えることになり、ボーナス払いを併用している場合はさらに厳しい状況になることが予想されます。
医療費や介護費が必要になる
厚生労働省の発表によると、2022年時点での日本の平均寿命は、男性81.05歳、女性87.09歳となっており、老後の生活が長くなる傾向が続いています。
歳を重ねるにつれて、生活習慣病などの治療に大きな費用を要する病気にかかるリスクは高くなります。
また、要支援や要介護といった介護を必要とする状態になれば、訪問サービスを受けたり、介護施設に入所したりすることになります。
医療費や介護費が長期で必要となることも、老後破産の原因のひとつといえます。
老後破産を予防するには
老後破産に陥らないようにするには、老後の資金計画を事前に立て、足りない分を老後までに蓄える必要があります。以下の手順で老後資金のシュミレーションと貯蓄を行い、老後破産を予防しましょう。
1. 現在の収入と支出を明確にする
2. 年金受給額、退職金、定年時の貯蓄額を試算する
3. 老後のライフプランを立て、固定費、変動費を含めた家計を算出する
4. 不足する部分を老後までに貯蓄する
まとめ
老後に住宅ローンが残っていると、老後破産するリスクは高くなるといえるでしょう。
回避するためには、できるだけ早い時期から老後の資金計画を立てましょう。それを実現するために現在の生活の見直しや、貯蓄のあり方などを考えることで老後破産のリスクは低くなります。
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