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不動産の相続時に起こるトラブルとは?具体例を挙げて解説
親の遺産を相続することになった時、複数の相続人で遺産を分けるケースは多くあります。遺産の中に自宅などの不動産が含まれていると、遺産を平等に分けることが難しくなり、仲のよい親族でも争いごとに発展してしまうことがあります。
この記事では、不動産相続時に起こるトラブルとは何か?回避するためにすべきことや、起こってしまった時の対処法などについて解説します。
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不動産相続で起こりうるトラブルとは
不動産を相続する際に起こるトラブルについて、事例を挙げて紹介します。
相続人の間での対立
相続人が複数いる場合、「誰が不動産を相続するか」で相続人同士で争いが起こることがあります。
例えば、親が亡くなり、長女、長男、二男の3人が相続人になったとします。遺産には自宅が含まれており、自宅を誰が相続するかで3人の意見が対立することがあります。
長女・・・身体の不自由な親と同居し、面倒をみてきたのだから、このまま住み続ける権利 がある。
長男・・・昔から家を継ぐのは長男と決まっているから、自宅を相続するのは自分だ。
二男・・・子ども3人は同じ割合で遺産を相続する決まりがあるから、自宅は売却して、現 金を3等分すべきだ。
不動産をそのまま相続する意見のほか、売ってしまった方がよいとする意見が出ることもあります。仲の良い兄弟姉妹でも、一度関係が崩れると修復するのは大変なことです。
相続財産の評価
相続において不動産の評価は大変難しいものです。相続税の申告のために算出する相続税評価額では、時価に比べて8割程度の金額で評価されるのが一般的です。この金額を遺産分割にそのまま適用するかどうかでトラブルになるケースがあります。
例を挙げると、親が亡くなり相続財産が自宅(相続税評価額3,000万円)と現金3,000万円の合わせて6,000万円、相続人は長男、二男の子ども2人とします。法定相続分通りに相続すると、お互い2分の1ずつとなります。
長男は親と同居していたため、そのまま住み続けられるよう不動産の相続を希望し、「相続税評価額3,000万円の自宅を自分が、現金3,000万円を二男が相続すればよい」と考えました。
いっぽう二男は、長男が自宅を相続することには納得したものの、「自宅の評価額が3,000万円なのはおかしい」と反発します。
自宅は時価換算して3,750万円の評価が妥当で、現金の3,000万と合わせて6,750万円の2分の1が自分の相続額なので、現金3,000万円プラス375万円を相続する権利があると主張します。
以上のように、不動産の評価額をどうするかでトラブルに発展する可能性があります。
相続人が不動産を売却できない場合
不動産は誰の所有物なのか明確にするために、法務局で登記する必要があります。この手続きがきちんと行われていなかったため、トラブルに発展するケースもあります。
例えば、自宅を所有していた親が亡くなり、相続人は息子1人のみとします。相続人は1人なので当然自宅についても相続することになりますが、息子は結婚しており、自分で購入した家に住んでいるため、実家は売却して現金化することにしました。
売却するにしてもいったん名義を親から自分へ変更する必要があり、不動産の書類を取り寄せてみると、自宅の建っている土地の名義が親ではなく祖父のままであることが判明します。祖父が亡くなった時に名義を親へと変更していなかったためです。
この状態では、相続人である息子は自宅を売却することができず困ってしまいます。
トラブル回避のための対策
トラブル回避のために有効な対策を4つ紹介します。
遺言書の作成
不動産のように複数人の相続人で分けるのが難しい遺産がある場合は、誰に不動産を相続させるのか遺言書を書いてもらいましょう。
遺言書があれば基本的には遺言書の内容に従って相続を行わなければなりません。兄弟姉妹で不動産を相続したいと思う人がいても、遺言書で指定されていなければあきらめるしかないので、争いを避けることができます。
ただし、ほかの相続人の不満を生まないように預貯金や生命保険金の相続人に指定するなどの配慮は必要でしょう。
相続人間で話し合いをする
相続財産に不動産が含まれるかどうかは、被相続人の生前から分かっていることです。遺言書がなかった場合に不動産の相続をどのように行うのか、前もって相続人同士で話し合っておくとよいでしょう。
実家を相続するとなれば、相続人それぞれの実家に対する思いがあるでしょうし、誰も住む予定がないのであれば、空き家問題に対する策を考える必要も出てきます。
いざという時に慌てないためにも、お盆や正月など親族が集まる機会に話し合っておきましょう。
不動産の名義変更の手続き
自宅などの不動産が相続財産に含まれることが分かっている場合、相続開始前に誰の名義になっているか確認しておきましょう。
先祖代々の土地に自宅が建っている場合、土地の名義が祖父や曾祖父のままとなっていることがあります。そのままではスムーズな相続が行えないので、現在の所有者である親の名義に変更しておく必要があります。
法務局に行って登記簿謄本(登記事項証明書)を取得すれば、その不動産の現在の名義人が分かります。被相続人となる人の名義になっていなかった場合は、同じく法務局で登記申請と呼ばれる手続きをして名義変更を済ませておきましょう。
財産目録を作る
財産目録とは、被相続人のすべての財産が分かるよう一覧にしたものです。遺言書の作成時に一緒に作成したり、相続開始後に相続人が作成することもあります。
財産目録が作ってあれば、相続開始前に相続人となる人は全体の財産が把握できます。
不動産の相続についても「不動産を相続しなくても現金を相続できるから大丈夫」「財産は不動産しかないから、売却して現金を分けた方がよいのでは」といったように方向性を決めることができ、相続時にトラブルに発展することを防ぐことができます。
トラブルが起こってしまった場合の対処法
相続は突然おとずれることも多く、十分な準備ができないままトラブルに発展することもあります。トラブルが起こってしまった場合の対処法について説明します。
遺産分割協議書の作成
不動産を含む相続では、不動産の相続をめぐってトラブルに発展するケースが多くあります。相続人同士の話し合った内容は必ず「遺産分割協議書」として残しましょう。
遺産分割協議書とは、誰がどの遺産を相続するかについて相続人全員が納得した証拠となる書類であり、後になって「気が変わった」「そんなことは聞いていない」といった二次的なトラブルを防ぐのにも役立ちます。
不動産の売却手続き
「遺産は不動産しかなく、相続人全員の共有は避けたい」「実家を誰も相続したがらず、このままだと空き家になってしまう」などの不動産相続に関するトラブルの解決には、思い切って不動産を売却してしまうのもよい方法です。不動産を売却し、税金や諸経費を差し引いた残金を相続人で分割します。
裁判所での解決
相続人間の話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てる方法があります。調停委員会による解決案の提示や、解決に向けた助言を得て相続人全員の合意を目指します。
それでも意見がまとまらなければ、裁判所が遺産の分割方法を決定する「遺産分割審判」へと移行し、相続人はその指示通りに遺産分割を行うことになります。
不動産相続で気を付けたい点
不動産相続で気を付けるべき注意点を2つ紹介します。
共有は避ける
不動産を複数の相続人で平等に分けたいからといって、共有名義とするのは得策とはいえません。共有名義には以下のデメリットがあります。
・所有者全員の同意がないと売却できない
・子や孫といった先の代まで相続が続くと共有者が増え続けてしまう
相続登記を必ず行う
不動産を相続したら、法務局で相続登記(相続による名義変更)を必ず行いましょう。
今までは相続登記をしていなくても罰せられることはありませんでしたが、2024年4月1日からは相続登記は義務化されます。これに反すると10万円以下の罰金を科せられることになりますので注意が必要です。
まとめ
不動産はその価値の大きさから、相続においてトラブルとなるケースが多々あります。トラブルを未然に防ぐために、遺言書を残したり、生前に売却して現金化しておくなどの方法があります。
被相続人の生前から相続についてよく話し合い、専門家に相談するなどして最善の相続方法を決めておくことをおすすめします。
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