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不動産の生前贈与ってどうしたらいいの?わかりやすく解説!
亡くなってから財産を引き継ぐことを相続と言いますが、相続する側が生きているうちにパートナーや子供、孫などに贈与をすることを生前贈与と言います。
生前贈与の中でも自身で所持している土地や建物を贈与する場合は不動産の贈与に当たります。
この記事では不動産の生前贈与の手続きや注意点についてご紹介します。
終活のコレカラ 一級ファイナンシャルプランニング技能士/終活カウンセラー
これから40年の間に40%へ近付くとも言われています。「人生100年時代」を幸せに暮らすために、ひとり一人に合ったご提案をして参りたいと思います。ご不安や心配ごとが解消するまで全力でサポートさせていただきます。どんな些細なことでも、まずはご相談ください。
生前贈与の基本的な手続きとは?
生前贈与は難しいと思われがちですが、適切な順序を踏めば手続きが可能です。ではどのようにして手続きをすれば良いか簡単な手順を紹介します。
1.贈与したい財産と相手を決め、何の目的で贈与するのかを決める
2.贈与の課税方法を選ぶ
3.贈与される側と贈与契約書を作成する
4.実際に贈与する
5.贈与税の申告をする
6.不動産所得税を納付する
必要な書類
贈与する人が用意する書類
・登記事項証明書
・固定資産評価証明書
・登記済権利証または登記識別情報
・印鑑証明書
贈与される側が用意する書類
・住民票
・印鑑
・身分証明書
手続きの流れ
不動産の生前贈与の動きをさらに詳しく解説していきます。
1.贈与したい財産と相手を決め、なんの目的で贈与するのかを決める
贈与した目的や財産の使い道によっては非課税制度を利用できる可能性があります。制度の利用が可能かチェックし、吟味すると良いでしょう。
2.贈与の課税方法を選ぶ
贈与をする際にも、贈与税がかかります。
課税方法には主に、暦年贈与と相続時精算課税制度の2種類あります。一長一短があるので2種類のうちどちらが良いか贈与する側と贈与される側との話し合いが望ましいです。
3.贈与される側と贈与契約書を作成する
生前贈与は、贈与する側のみでは成立しません。贈与される側の同意が必要ですここで注意しておきたいことがあります。贈与された側が財産を取りあつかえない状況にある場合、贈与は成立しません。
4.実際に贈与する
課税方法の決定後、贈与の手続きをします。不動産の生前贈与は法務局での手続きが可能です。贈与する不動産の名義変更手続き(所有権移転登記)を自身で行う場合は、贈与する側と贈与される側がそれぞれの必要書類を準備し、登記申請をします。
5.贈与税の申告・納税をする
贈与税は税務署で申告しましょう。
暦年贈与を選択した場合 : 贈与された側は、110万以上であると基礎控除額を超えているので贈与税の申告をする必要があります。
相続時精算課税制度を選択した場合 : 贈与税がかからなかったとしても贈与税の申告は必要です。
6.不動産所得税を納付する
不動産の生前贈与は贈与税がかからなかったとしても不動産所得税がかかります。不動産取得税は贈与される側に支払いの義務があります。
暦年贈与と相続時精算課税制度の課税方法
暦年贈与
暦年贈与とは、1年間の総額が毎年110万円以下(基礎控除額)になるように贈与するものです。毎年110万円以下であれば贈与税の申告・納税を行わずに済むので、相続する際の節税対策になります。車や不動産の場合は評価額で贈与額が決まるので注意しなければなりません。
例えば現金50万と不動産では簡単に110万円を超える可能性があります。年間の贈与の増額が150万円の場合、110万円以外の40万円が課税対象となるのです。暦年贈与で不動産や車を贈与する際にはよく検討しましょう。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、贈与する側からの贈与額が2500万円まで非課税になり、相続時の価格と相続する財産の価格を合計した金額から一括で相続税が課税される制度です。2500万円を超えた分は贈与税が課税され、超えた分の課税額は相続税発生時に控除されます。
両親(贈与者)からぞれぞれ2500万を贈与された場合は5000万円ですが、贈与する側からの贈与額で考えるので非課税です。1人から受ける贈与額は、合計額が2500万円を超えなければ何回贈与されても非課税となります。
相続時精算課税制度を利用するには贈与する側(贈与者)が60歳以上の父母または祖父母であり、贈与される側(受贈者)が18歳以上の直系卑属(子や孫または推定相続人)であることが条件です。どちらも贈与した年の初め(1月1日)の年齢を指します。
生前贈与をする時の注意点
相続税の対象となる場合がある
生前贈与は相続開始前3年以内に行った場合には、相続税がかかってしまうので注意しましょう。
贈与する側が生前贈与して3年以内に亡くなった場合、相続財産に含まれてしまうので生前贈与の意味がなくなってしまうということです。
同時に生前贈与を行った日付を残しておくことも重要です。なぜなら相続税の申告時、税務署が調査するからです。対策として、生前贈与を行った日付を証拠として残しておくと良いでしょう。
贈与契約をするメリット
・自身のタイミングで贈与する相手を選べる
遺言を残して相続する相手を指示することもできます。
しかし指示をしたとしても最終的にはディスカッションで変更が可能です。今後に備えてプランニングできるので生前贈与の長所と言えます。
・生前贈与を行うことによって節税対策になる
土地を生前贈与するメリットは、将来値上がりする可能性があるからです。
すでに将来値上がりする土地であれば、財産の課税対象額に大きな差ができることがわかります。土地がリーズナブルなうちに手放せば節税対策になるのです。
また、家賃収入も似たようなことが言えます。
賃貸収入を早めに手放すことで贈与した相手の財産になることが一つのポイントです。贈与する側は相続税の課税対象額を削ることになります。金額によっては贈与税を負担することになるので、相続税と比べると良いでしょう。
・贈与をされる側(受贈者)と一緒に決められる
贈与する側と贈与される側のみで完結するので一つのメリットです。遺言書がない相続となると何人かでの分割贈与になるためトラブルに発展する危険性があります。しかし、生前贈与は1対1で行われるため他の人が関わる心配がなくなります。
・短期間で済む
遺言書のない相続の場合、土地以外の財産を含めて遺産分割するため協議がまとまらない恐れがあります。生前贈与は他の人が関わることなく、土地の贈与(登記の名義変更)と贈与税(非課税の場合あり)で完了するのです。
・認知症対策ができる
贈与する側が認知症により思考能力が低下していると手続きができなくなります。仮にまとまった金額が必要な時、売却などの手続きが困難です。生前贈与された側は財産の手続きが可能になるので有益であります。
贈与契約をするデメリット
・不動産の贈与は課税対象になる
土地や不動産の贈与には不動産取得税の他に登録免許税などが課税されます。相続時に課税される税金より高くなることがあるので節税対策として効果的か見極める必要があります。
・贈与が成立した後に贈与した相手と険悪になっても戻せない
生前贈与をしたことにより資金が必要になった時、贈与された側から援助してもらえない問題があります。親子であっても状況によっては起こりうることです。今後の生活に備えてよく検討し、贈与を行いましょう。
困ったときに相談できるところ(専門家)は?
終活相談センター
終活カウンセラー(終活アドバイザー)に相談できる窓口です。生前贈与から死後までの相談が可能で、一人一人に合ったプランを提案してくれます。無料でセミナーや勉強会を開催しているところもあるので、活用すると良いでしょう。
弁護士
生前贈与をする上で、相続案件を数多くこなしている弁護士であれば的確なアドバイスがもらえます。さらに経験豊富な弁護士であれば、なにか証明が必要になった場合うまく成立するよう導いてくれます。
司法書士
生前贈与に関する資料や手続きのお手伝いをしてくれます。主に贈与契約書や登記手続きです。証明書などの他に必要な手続きがあれば同時に行ってくれます。
銀行や金融機関
贈与する側とされる側の仲介に入り、生前贈与の手助けをしてくれます。金融機関の信託を使用し、手続き代行が可能です。税金対策について紹介してくれます。
まとめ
ここまで不動産の生前贈与に関する基本的な流れや知識を紹介してきました。生前贈与は自身で行うことも可能ですが、選択肢がたくさんあるため悩んでしまうこともあるでしょう。節税対策に関しても、贈与する相手に関しても、困った時は専門家に相談することで自身に合った贈与対策ができるでしょう。
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