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所有不動産どうする?生前贈与と相続の違い
高齢になるにつれて気になることのひとつに、遺産相続に関することがあります。
財産を受け渡す方法には、「相続」以外にも「生前贈与」という方法もあることをご存じでしょうか。
この記事では、家や土地などの不動産について、生前贈与した場合と相続した場合の違いについて解説していきます。
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不動産の処分方法
自宅を所有している人もいつかはそこに住まなくなります。具体的にいうと、高齢となり介護施設などに移り住むか亡くなった時です。
自分が住まなくなった後の自宅の手続きについては、早い段階から考えておく必要があります。住まなくなった自宅をどうするかの選択肢として、大きく2つに分けることができます。
売却する
自宅を手放してしまう方法です。不動産会社に仲介に入ってもらい買い手を見つけて売却する方法や、直接不動産会社に買い取ってもらう方法があります。別の自宅を購入したり、介護施設などに移り住むことになった時に検討される方法です。
相続のことを考慮すると、不動産ではなく現金として残せるので遺産分割がスムーズに進みます。
配偶者や子どもに譲り渡す
亡くなった際には、相続人である配偶者や子どもに相続という形で自宅を引き継ぐことになります。また、亡くなる前に家の所有権を配偶者や子どもに渡したい場合は、生前贈与という形で渡すことが可能です。
次の章からは、生前贈与と相続について詳しく説明していきます。
生前贈与とは
生前贈与とは、自分が生きているうちに自分の財産を無償で他者に渡すことです。財産を渡す側を「贈与者」、受け取る側を「受贈者」と呼びます。
生前贈与することで、贈与者が亡くなった時の相続財産を減らすことができ、相続税の軽減につなげることができます。ただし、贈与された側は贈与税の支払い義務が生じることがあります。
贈与税の課税方法には、「暦年課税」「相続時精算課税」の2つの方法があります。
暦年課税
暦年課税とは、ひとりの人が1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた金額が110万円を超えた分について贈与税が課税される方法です。
1年間の贈与額が110万円以下であった場合は非課税となりますので、計画的に毎年110万円を超えない範囲で贈与していくことで、相続財産を減らすことができます。ただし、毎年決まった金額を決まった時期に受け取っている場合、「定期贈与」とみなされ、贈与税の課税対象とされる場合がありますので注意が必要です。
また、贈与者が死亡する前3年以内に行った贈与に対しては、基礎控除額である110万円以下の金額であっても相続税の課税対象とみなされます。
相続時精算課税
相続時精算課税とは、税務署へ申告することで選択することができる贈与税の課税方法です。60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫に対して贈与を行う場合、複数年に渡り合計額が2,500万円を超えるまでは贈与税は非課税となります。
ただし、贈与者が亡くなった時点で、それまでの贈与額が相続財産に加算され、相続税として課税される仕組みになっています。
また、一度、相続時精算課税を選択した場合、その年以降は贈与者が亡くなるまで暦年課税に戻すことはできませんので注意が必要です。
不動産を生前贈与するメリット
不動産は現金とは違い、細かく分けて贈与することが難しいです。したがって、暦年課税ではなく相続時精算課税を選択することになります。不動産を生前贈与することで得られるメリットには、次のようなことがあります。
希望する人に渡すことができる
生前贈与であれば、贈与者の希望する人に渡すことができます。生前贈与せずに亡くなった場合、遺言書がなければ相続財産は法定相続もしくは遺産分割協議によって、相続人のいずれかが相続することになります。意図しない人が相続するのを避けたいのであれば、生前相続は有効な手段です。
相続税の節税効果がある
不動産を生前贈与しておくことで、相続税の節税効果を得られることもあります。不動産を生前贈与した場合、贈与した時点で贈与税がかかり、最終的に相続税も課税されます。一見、多く税金がかかると思われがちですが、場合によっては安く済むケースもあります。
例えば、将来、評価額が値上がりすることが確実な不動産であれば、贈与した時点での評価額に対して相続税が課せられますのでかなりの節税効果が期待できます。
不動産を生前贈与するデメリット
次にデメリットについて説明します。
不動産取得税がかかる
不動産を生前贈与した場合、登記費用が必要となります。「不動産取得税」と「登録免許税」を収めることになり、固定資産税評価額を基準として金額が決定されます。
相続した場合と比べると以下のようになります。
生前贈与・・・不動産取得税(固定資産税評価額の3%)、登録免許税(固定資産税評価額の 2%)
相続・・・不動産取得税(非課税)、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)
同じ不動産を譲り受けたとしても、相続より登記費用が高くなります。
贈与税がかかる
不動産の生前贈与では、基礎控除額の110万円以内におさまることはありませんので、贈与税が課税されます。相続時精算課税を選択したり、婚姻歴が20年以上ある夫婦であれば配偶者控除が適用され、限度額までは非課税となりますが、それ以外の場合には贈与税が課税されます。
贈与税の税率は相続税の税率と比べて高く設定されていますので、相続した場合のシュミレーションを行い、比較してみる必要があります。
相続とは
相続とは、亡くなった人の財産を配偶者や子どもが引き継ぐことをいいます。
亡くなった人の財産を遺産といいます。
遺産に含まれるもの
遺産には亡くなった人のすべての権利や義務が含まれます。具体的には次のようなものが遺産に該当します。
・現金や預貯金
・株式、投資信託などの有価証券
・車、貴金属などの動産
・土地、建物などの不動産
・借入金などの債務
・著作権、特許権、賃借権などの権利
相続の方法
相続の方法は大きく3つに分かれます。
単純承認
一般的な相続方法で、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続します。
限定承認
マイナスの財産がある場合、プラスの財産の範囲内で弁済の義務を負う相続方法です。後から負債が見つかる可能性がある時に有効な手段です。
相続放棄
プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続しない相続方法です。明らかにマイナスの財産の方が大きい場合に選択されます。
不動産を相続するメリット
不動産を相続するメリットを紹介します。
そのまま住み続けることができる
自宅を相続した場合、残された家族はそのまま住み続けることができます。生活の基盤となる住居を確保でき、安心して生活できます。
また、別に自宅を所有している子どもであれば、賃貸物件として収入を得たり、貸駐車場にするなどの土地活用もできます。
さまざまな特例で相続税を軽減できる
不動産の相続には基礎控除やさまざまな特例があります。これらを使うことで相続税を軽減することができます。
基礎控除
申告不要で適用される控除です。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。
小規模宅地等の特例
自宅の土地を配偶者や同居の子どもが相続した場合、相続税評価額を最大80%下げることができます。
配偶者の税額軽減の特例
不動産に限らず、配偶者であれば「法定相続分」もしくは「1億6,000万円」のどちらか大きい方までは相続税が非課税となります。
不動産を相続するデメリット
不動産を相続するデメリットについても紹介します。
誰が相続するのかでトラブルになることがある
不動産の相続について、遺言書に誰が相続するのか記されている場合は良いのですが、そうでない場合、誰が相続するのかでもめることがあります。遺産の中で不動産の占める割合は大きなものとなることが多いので、話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所での調停となるケースもあります。
相続税の支払いに現金が必要となる
メリットで紹介した基礎控除や特例を使っても相続税を支払うことになった場合、現金が必要となります。支払えるだけの預貯金があればよいのですが、ない場合は不動産の売却も検討する必要が出てきます。
まとめ
不動産は資産価値が非常に高くなるため、生前贈与か相続かで悩む人も多いと思います。
どちらにも税が軽減される特例などがありますが、相続の方が手厚い控除が受けられる傾向が強いです。相続は遺産すべてに対しての課税となるため、両者を単純に比べることは難しいです。迷った時は専門家に相談したうえで判断しましょう。
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