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老後に自宅売却をする方法と注意点
自分の老後をどのように過ごして、最期を迎えるのか?
早い時期から考えて、実行していく「終活」は、すっかりと耳慣れた言葉になりました。自分に介護が必要となったり、死後に家族が困らないように「断捨離」を進めている方も多いと思います。
「断捨離」は、服や本など身の回り品から始めて、最後に処分するのは自宅になるでしょう。
自宅を処分するのに、まず最初に思いつくのは「売却」だと思います。今回は、老後に自宅を売却する方法と注意点について述べていきます。
終活のコレカラ 一級ファイナンシャルプランニング技能士/終活カウンセラー
これから40年の間に40%へ近付くとも言われています。「人生100年時代」を幸せに暮らすために、ひとり一人に合ったご提案をして参りたいと思います。ご不安や心配ごとが解消するまで全力でサポートさせていただきます。どんな些細なことでも、まずはご相談ください。
老後に自宅売却をするメリット
手元の資金が増える
定年退職すると給与所得がなくなり、年金と預貯金だけでの生活になります。しかし、介護や医療費、保険など必要な費用は継続的にかかり続けることに……。
家の修繕や、家電の買い替えなど不意な支出で、手元の資金は減り続けることも想定されます。自宅を売却することで、これらの手元の資金を増やすことができます。
広さとエリアを選べる
子どもが家から出て、夫婦2人になると、それまでの広い家だと掃除や管理が大変です。足腰が弱くなると、2階建ては階段が危険になります。
売却して引っ越しすることで、夫婦2人の老後生活にふさわしい間取りや、バリアフリーの家に住むことができます。駅近や病院やスーパーなどの、周辺施設が充実したエリアに住めば、体力が低下しても日常生活の不便さを減らせます。
居住先の形態を選べる
退職して夫婦2人での生活になれば、通勤場所に縛られない住みたいエリア、今までより狭い面積の家に住み替えることができます。そのためエリアや面積に応じてかかる、固定資産税を減らせることができます。
賃貸住宅に引っ越しすることで、家賃はかかりますが、固定資産税やメンテナンスにかかる管理費が不要になります。
「老人ホーム」
「シニア向け分譲マンション」
「サービス付き高齢者向け住宅」
などの住宅に住めば、必然的に同世代の方が近くにいるので、孤立する可能性が下がります。介護が必要になっても、安心して生活を続けることができます。
ただし、サービス内容、契約方式、入居条件については、それぞれ異なります。財産状況などにあわせて選びましょう。
相続トラブルを避けることができる
子どもが独立して、自身の死後は空家になると想定できる場合があります。相続されないままの空家は、不法投棄や不法侵入の対象になります。きちんと管理しなければ、家の老朽化は急速に進み、放っておくと資産価値がなくなります。
家が処分されるまで、固定資産税は相続する方が払わなければなりません。それまで遺族には、管理するための手間と費用がかかります。売却できなければ、遺族が処分する費用を支払わなければなりません。
また家という不動産は、分割が困難な財産です。後に残された家族に相続する財産が、家しかなければ、財産分与でもめる原因になることもあります。売却して金銭に変えたほうが、分割が容易です。
自宅売却の方法
どの方法を選んでも、ローンが残っている場合は注意が必要です。金融機関に無断で売却できません。まずローンを完済して、抵当権を抹消しなければなりません。大抵の場合、金融機関の規約には「完済前に無断で家を売却した場合、規約違反として残債の一括請求をおこなう」という条項があります。
仲介
不動産会社から購入希望者を紹介してもらう方法です。
持ち主自身で売り出し価格を設定できます。そのため、売却価格は周辺の売却相場と同じにもできます。しかし購入するのは個人なので、買主が見つかるまで売れ残ったままになる可能性が高いです。
そのため一般的には、仲介で売却します。
買取
不動産会社に直接購入してもらう方法です。
不動産会社が購入してから、新たな買主に販売します。つまり、不動産会社は利益を出すために、安く購入しなければなりません。そのため売却価格は、周辺の相場よりも安くなります。
しかし、売却先は不動産会社と決まっています。そのために、査定が完了すればそのまま売却となります。最短で2週間ほど、一般的には1ヶ月から2ヶ月で完了します。急いで現金化する必要がある、エリアや家の状態で、仲介での売却が難しい場合にオススメする方法です。
リースバック
自宅を売却することで現金化して、売却した会社と賃貸契約を締結します。売却後は、家賃を払いながら、同じ家に住み続けることができる売却方法です。住み慣れた家で、引っ越しする手間なく生活を続けることができます。家の名義は、売却した会社になります。そのため、家賃を払い続ける必要はあります。しかし、固定資産税、マンションであれば修繕積立金などの管理費や維持費も不要です。
老後の生活のためだけでなく、若い方でも利用できる方法です。そのため、老後生活のために適した業者選び、家賃の更新や期間など、契約内容の確認が大切になります。
業者を選ぶ際注意点
売却方法に適している業者か?
業者によって、得意にしている売却方法が異なります。
やみくもに業者を探すのは、オススメできません。
どこで、どのような老後生活を送りたいのか?
自宅を売却する目的は?
最適な売却方法を選択してから、業者を選びましょう。
複数社に査定してもらう
1つの業者だけで査定を依頼するのはやめましょう。
1つの業者だけの説明を聞いても、適正な査定額なのか確かめることができません。査定額が適正なのかは、他の業者と比較しなければ分かりません。
インターネットで一括査定サイトを利用すれば、家に居ながら複数の業者から査定をしてもらえます。店舗ごとに記入する手間も省けます。
インターネットでの査定に不安なら、直接それぞれの店舗に訪問する方法もあります。しかし、店舗ごとに訪問する時間と手間がかかります。店舗に訪問して、直接対面で相談したい方でも、一括査定サイトなどで事前に、適正価格を調べておくことをオススメします。
業者を選ぶポイント
家の売却が得意な業者か?
戸建て、マンション、築年数、エリアなど業者によって得意な分野は異なります。チラシやサイトなどで依頼する業者が、どのような物件を扱っているのか調べておきましょう。
査定額が適正か?
一括サイトでの査定額が大幅に広がる場合があるかもしれません。自分で調べた査定額と異なる場合は、業者に理由をきちんと確認しましょう。
査定額や理由を説明できる業者を選んでください。
担当者の対応がいいか?
会社に依頼していますが、窓口になるのは担当者です。担当者と連絡が取りにくい、返信が遅い場合は、注意が必要です。売却までに、不安になったり、確認したいことがでてきます。自分で調べるより、担当者に直接聞いたほうが、早く解決ができる場合があります。質問したときに、回答が早い、丁寧に対応してもらえることは大切なポイントです。
担当者の知識が豊富か?
エリアの特徴や相場、扱っている物件の特徴など、不動産に専門の知識を持っていることも担当者に求める大切なポイントです。
・仲介手数料
・印紙税
・登記費用
家の売却では、仲介手数料を含めて、物件によっては100万円単位の費用がかかることがあります。売却したら、確定申告も必要になります。内訳や説明は適切なのか?
専門の知識があれば、売却の途中や、成立の段階で適切なアドバイスを求めることができます。
不明なことを相談してください。ある程度の知識があれば、その場で丁寧に答えてくれるでしょう。
まとめ
自宅の売却は、人生で何度も経験することではありません。不安になるのは当然のことです。
不安を減らすために、時間をかけてじっくりと考える時間を作りましょう。
・老後資金が不安
・今の家では体力が落ちたときの生活が不安
・自分が死んだ後に残された家族が、自宅が原因でもめそうで不安
・一人だけで、介護が必要になったら生活するのが不安
自宅を売却する目的は、人によって異なります。
売却した後に、求める生活も異なります。
自身の判断で悩むなら身近な家族、それぞれの専門家である不動産会社、弁護士、税理士、ファイナンシャルプランナーなどと相談してください。
終活のコレカラ 一級ファイナンシャルプランニング技能士/終活カウンセラー
これから40年の間に40%へ近付くとも言われています。「人生100年時代」を幸せに暮らすために、ひとり一人に合ったご提案をして参りたいと思います。ご不安や心配ごとが解消するまで全力でサポートさせていただきます。どんな些細なことでも、まずはご相談ください。
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