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二世帯住宅で税金対策!新築する際に気をつけるべきこととは?
子供世帯との同居を機に、二世帯住宅を新築する人も多いのではないでしょうか。
二世帯住宅であればお互いに助け合って生活することができますし、老後の不安などを軽くすることもできます。
しかし家を建てるというのは建設費用以外に税金などの負担も増えるため、税金対策は必須です。
経済的に追い詰められゆとりが持てない生活では、お互いを思いやる気持ちにも暗い影を落としかねません。
そこでこの記事では、二世帯住宅を新築する際にできる税金対策を色々とご紹介していきますので、ぜひ参考になさってください。
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二世帯住宅は節税になる?
優遇措置が適用される制約はありますが、条件を満たせば節税に繫がります。
基本的に二世帯住宅は1つの家になりますが、登記の仕方によっては親世帯・子世帯が別々で優遇措置を受けることが可能だからです。
・単独登記
・共有登記
・区分登記
二世帯住宅を新築する際などには上記の3種類いずれかを選ぶことになり、登記の仕方によって節税になる・ならないに分かれます。
また持ち家に対する税金は種類があるため、節税できる税金別でご紹介していきます。
固定資産税
土地・建物共に軽減措置があり「区分登記」の場合には、2世帯共が軽減措置の対象になります。
区分登記というのは親・子それぞれが家を新築したと扱われるため、新築をした人が受けられる軽減措置を別々に受けることが可能です。
【土地に対する固定資産税】
・200㎡までの住宅用地…6分の1に減税される
・都市計画税…3分の1に減税される
【建物に対する固定資産税】
・120㎡相当分の固定資産税が、3年間2分の1に軽減される
これらの軽減措置を親・子それぞれが受けることができるため、それぞれが負担する固定資産税を軽くすることができます。
また、長期優良住宅を建てた場合には、建物に対する固定資産税の軽減期間は5年になる可能性もありますから、事前に確認してください。
不動産取得税
50㎡~240㎡以下の床面積の新築であれば、1,200万円の控除を受けることができ、区分登記の場合には倍額の控除額になります。
1,200万円の控除というのは1世帯あたりの金額になっているため、親世帯・子世帯がそれぞれ1,200万円ずつの控除を受けることができます。
そのため二世帯住宅の場合は控除額は2,400万円といえるかもしれません。
ただし50㎡~240㎡という床面積を満たしていない場合には、新築&二世帯住宅であっても、控除対象から外れてしまうため注意が必要です。
相続税
親の家を相続する際に相続税が払えないという心配も、二世帯住宅であれば不要かもしれません。
「小規模宅地等の特例」の対象になれば、相続評価額を80%減額することができます。
この「小規模宅地等の特例」というのは、被相続人(相続をする人)名義の家で生活を共にしていた人や、一緒に住んでいた人(相続によって名義を取得する場合)が対象になっています。
つまり、故人名義の家に住んでいた場合でも特例の対象となり相続評価額を80%軽くすることができるため、相続税が莫大な金額にはなりません。
また、二世帯住宅であれば、家の間取りなどに関係なく対象になります。
簡単にいうならば、名義よりも生活を共にしていたかどうかによって、相続税軽減の有無が左右されることになります。
住宅ローン控除
単独登記の場合は名義人しか控除を受けることができませんが、共有登記&区分登記であれば、親世帯・子世帯共に控除を受けれます。
お互いに新築の家を建ててローン返済をしていると認められるため、税金の控除対象です。
住宅ローンの残額に応じた金額が控除対象となり、住民税や所得税が軽減されます。
ただし、住宅ローン控除を受ける場合には、自分で申告をする・確定申告をしなければなりません。
つまり、子世帯・親世帯が別々に申告をすれば、それぞれの税金が軽くなる・戻り金があるということになります。
減税措置が受けられる条件
二世帯住宅としての減税措置を受けるには、生活をする上で必要になる部分を独立させることが必要です。
構造上の独立性・利用上の独立性の2つを満たしている場合のみ、親世帯・子世帯共に減税措置を受けることができます。
簡単にいえば、それぞれお互いの居住スペースに入らなくても生活に支障がなく、独立した生活を送れる状態ともいえます。
・玄関
・キッチン
・トイレ
これらの場所を共有しないといけない状態では、独立した生活を送ることはできません。
そのため、二世帯とは認められず減税措置を受けるのが難しくなってしまいます。
つまり、親世帯・子世帯それぞれに専用の玄関・キッチン・トイレを作り、お互いの住居スペースを行き来できる廊下などは仕切る必要があります。
また2戸分の住宅であると認められる基準に関しては、自治体によって若干の違いが生じる場合もあるため、不動産業者や建設業者などに確認してください。
二世帯住宅を建てる時の注意点
色んな減税措置を受けることができる二世帯住宅ですが、新築する際に注意をしないと税金対策ができない場合もあります。
どちらか一方の世帯が減税措置を受けられても、もう一方の世帯は減税措置が受けられないという状況に陥ってしまう可能性があるからです。
先ほどご紹介した中でも少し触れていますが、親世帯・子世帯共に税金対策をしつつ二世帯住宅を建てるには、この2点に注意をしてください。
間取り
両世帯共に減税措置を受けるには、完全分離型の間取りで二世帯住宅を建てる必要があります。
「お互いに独立して生活が送れる間取りであること」が、減税措置を二世帯別々で受けるための条件であるため、基準を満たせるのは完全分離型になります。
・完全同居型…玄関・キッチン・トイレなど全てを共有する
・部分共有型…キッチンなどの一部だけを共有する
・完全分離型…生活に必要な部分を共有せず、それぞれが独立している
一般的に二世帯住宅と呼ばれている中には上記の3タイプの間取りがありますが、税金対策の面だけでなく、お互いのプライベートな空間を確保する面を考慮しても、完全分離型がおすすめです
登記
最初にも少し触れていますが登記の仕方には3種類あるため、どのように登記するかは慎重に考える必要があります。
税金対策をしたつもりでも、節税にならない・税金の負担が増えることもあり得ます。
・単独登記…親又は子どちらか一方の名義での登記
・共有登記…土地は親名義・建物は子の名義など、出資割合などに応じた登記
・区分登記…それぞれが別々に登記
このように種類があり、どのタイプの登記にするかは選択可能です。
両世帯共に減税措置を受けることができるのは、基本的には「共有登記」と「区分登記」です。
しかし、万が一の事態になり相続することになった場合には「区分登記」では相続税の減軽にはなりません。
また、親が建設費用の負担をしている場合で「子の単独登記」にした場合には、生前贈与とみなされるため、贈与税がかかってしまう場合もあります。
そのため二世帯住宅を新築する際には、間取りだけでなく登記の仕方にも注意が必要だといえます。
二世帯住宅のメリット
色々と税金対策ができる二世帯住宅ですが、それだけがメリットではありません。
このような部分も、二世帯住宅ならではのメリットだといえます。
・お互いに支えあって生活できる
完全分離型の二世帯住宅の場合でもお互いの住居スペースには行き来ができるため、困った時・助けが必要な時には、すぐに駆けつけることができます。
近い場所に住んでいる場合でも、違う家から駆けつけるには時間がかかってしまうのは当然ですが、一つ屋根の下であれば時間はかかりません。
このメリットは、税金対策よりも良いメリットだとも言える部分です。
・どちらの好みにも合わせることができる
親世帯と子世帯では好みにずれが生じますが、自分たちの好みに合う家を建てることができます。
それぞれが自分たちの好みに合わせた間取りにしたり、使い勝手の良いようにすることができるため、我慢をしたり合わせる必要はありません。
一生に何度も買えるものではないですから、後悔をしないという面から考えてもメリットだといえます。
二世帯住宅のデメリット
子供が複数いる場合には、二世帯住宅を新築することがトラブルの原因になってしまう場合もあります。
遺産相続などの部分にも関わってくるため、同居しない子供の理解を得ておくことが大切かもしれません。
また、二世帯住宅で同居をする前と後で関係性に変化が現れる可能性もあり、その部分がデメリットだといえます。
そして親子関係以外にも、二世帯住宅ならではのデメリットも存在します。
・売却がしにくい
一般的な一軒家とは間取りなどが異なるため、二世帯住宅は買い手がつきにくいというデメリットがあります。
何らかの事情によって売却をしたい場合でも、買い手が見つからない・借り手が現れないという場合も多いです。
まとめ
二世帯住宅を新築する場合には、親世帯・子世帯共に税金面で優遇措置を受けることが可能です。
固定資産税・不動産取得税・住宅ローン控除などの部分で税金対策ができ、相続税の減税を受けることもできます。
しかし、二世帯住宅を新築する際には「登記の仕方」によっては税金対策にならない場合もあるため、慎重に考えてから行動することが大切かもしれません。
また二世帯住宅にはメリットもありますが、同じようにデメリットもあるということも忘れないでください。
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