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老後破産とは?原因や対策について解説
定年をむかえる日まで一生懸命に働き、リタイア後は趣味や家族との時間を楽しみたいと考える人は多いと思います。ところが、実際リタイアしてみると思い描いていたような生活は送れず、「老後破産」してしまう人がたくさんいることをご存じでしょうか。
この記事では、誰にでも起こりうる「老後破産」について、その原因や対策などを解説していきます。
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老後破産とは何か?
老後破産とは、定年後に年金や預貯金を生活資金として暮らしていくなかで、家計が維持できなくなり生活が困窮した状態になることです。
老後破産という言葉が世間で大きな注目を集めたのは、2019年6月に金融庁によって「老後の30年間で約2,000万円が不足する」との発表があった時です。実際に2,000万円貯蓄がないと老後破産してしまうかどうかは、個人のライフスタイルや年金受給額、貯蓄金額によって異なります。2,000万円なくても大丈夫な人もいれば、2,000万円では足りない人もいます。
日本弁護士連合会、消費者問題対策委員会による「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」によれば、60歳以上の自己破産者の数は全体の25%にまで上っており、老後破産する人が増加していることが見て取れます。
老後破産したらおこる影響
老後破産するとおこる影響について説明します
日常生活に支障が出る
十分な食事が取れなくなり、それが原因で体調を崩しやすくなります。大きな病気を抱えても治療費や手術代を捻出することができません。また、介護施設などへの入所も難しくなります。
自宅を売却する
持ち家に住んでいる場合は、自宅を売却して生活費にあてる必要があります。
生活保護を受ける
生活保護は、国民が最低限の生活を送れるように国が支援する制度です。労働によって収入を得ることが困難な場合など、条件を満たせば利用できる制度です。
老後破産の主な原因
老後破産に陥ってしまう原因として以下のような事があげられます。
収入と支出のバランスが取れていない
定年後の主な収入源は退職金と年金となります。世の中の大多数をしめる中小企業では、十分な退職金を求めるのは厳しい時代となっています。年金についても、少子高齢化の影響を受け、受給できる額が減少傾向にあります。
多くの人は現役時代よりも少ない収入で生活することになります。それまでの生活水準を落とさずに生活してしまうと、毎月の支出が収入を超えることになり、老後破産へとつながってしまいます。
住宅ローンの返済が残っている
晩婚化などにより、住宅の購入年齢も昔と比べると高くなっています。遅い時期からローン返済を始めると、定年までに完済できないケースが出てきます。退職金で完済できればまだ良いのですが、年金の中から住宅ローンを捻出するのは家計にとってかなりの負担となります。
医療費用や介護費用が必要となる
歳を取るにつれて、若いころには想像もしていなかったケガや病気をすることになります。大きな手術や、繰り返す通院により医療費は高額となることが予想されます。
また、要支援や要介護の状態となれば介護サービスを利用したり、介護施設への入所の必要も出てきます。平均寿命が伸びている現在では、長期で介護費用が必要となり、老後破産の原因のひとつとなっています。
老後破産を回避するためにやるべきこと
老後破産を回避するためには、できるだけ早い時期から老後の資金についてシュミレーションを行い、足りないと思われる部分を貯蓄することが大切です。
適切な老後資金計画
老後の資金計画を立てるにあたって重要なのは、収入と支出のバランスです。以下のような順番で老後資金のシュミレーションを行いましょう。
1. 現在の収入と支出を把握する
2. もらえる年金額、退職金、定年時の貯蓄額を試算する
3. 老後の生活プランを立て、固定費、変動費を含めた家計を算出する
4. 不足する部分を老後までに貯蓄する計画を立てる
現在の経済状況をしっかりと理解したうえで、どのように老後に備えるかを検討をし、資金形成の計画を立てましょう。
貯蓄
老後にもらえる年金だけで生活していくのは楽なことではありません。加えて年金財政の悪化により、将来的には年金額が減少すると予想されています。
老後資金の確保のために、計画的に貯蓄することが必要な時代となっています。
定期預金
金融機関の定期預金のほか、勤め先で社内預金や財形貯蓄制度などがある場合には活用するのも良いでしょう。超低金利時代のため、資産運用のように元手を増やすことは望めませんが、元本割れしないのは利点です。
iDeCo、つみたてNISA
最近よく耳にする「iDeCo」や「つみたてNISA」の活用も老後資金を準備する方法のひとつです。
iDeCoは、個人型確定拠出年金の略で、自分で設定した掛け金を毎月積み立てながら運用し、将来個人年金として受け取る資産を形成する制度です。掛け金は全額所得控除の対象となるため、所得税、住民税の節税効果もあります。
つみたてNISAは、年間40万円までの少額投資非課税制度です。最長20年までは運用で得た利益に対し非課税となる点が大きな特徴です。
貯蓄型の保険
個人年金保険や終身保険といった、貯蓄型の保険も老後資金の形成に有効な手段です。気をつけたいのは、途中解約するとそれまでに支払った額より解約返戻金の額の方が少なくなってしまうことがあるという点です。安定した収入があるうちに保険料の払い込みが終了するような契約にしましょう。
老後破産してしまった場合の対処法
老後破産しそうである、あるいはすでに老後破産してしまった場合にはどのような対処法があるのでしょうか。
再就職や副業
まずは自身の力で乗り切る努力が求められます。
政府の政策により、65歳までの雇用確保がすすめられています。しかしそれ以降に働きたいと考える場合、ある程度の準備が必要となります。
60代以降でも通用する資格や技術を身につける、人脈を広げておく、開業資金を貯めておくなどして、再就職や副業が有利に進められるよう準備しておきましょう。
自治体などの相談窓口に相談
自分たちだけで問題を抱え込まずに、相談できる窓口へ相談しましょう。具体的には以下のような窓口があります。
地域包括支援センター・・・医療、介護、生活支援について相談
消費生活センター・・・多重債務についての相談
自立支援相談窓口・・・生活困窮者に対する就労、家計見直し支援
生活保護の受給
生活保護は、全国民が最低限の生活が送れるよう、生活困窮者に対して生活費を支援する公的扶助制度です。各市区町村の福祉事務所に相談し、申請を行います。
受給条件は、世帯収入が居住地ごとに決められている「最低生活費」よりも低いことが絶対条件となります。
ただし住宅ローンが残っている自宅を所有している場合は、生活保護を受けることができませんので注意が必要です。
老後破産する前に気をつけること
誰もが「老後破産などしたくはない」と考えているはずです。老後破産を防ぐためには次のような点にも気をつけると良いでしょう。
退職金の使い方
個人差はあるものの、退職金はまとまったお金を手に入れることができる制度です。老後資金の確保のために、退職金を使って投資や資産運用を考える人も少なくありません。
しかし知識が不十分なまま金融商品の投資を行い、大きな損失を出してしまったり、不動産収入を得る目的でマンションを購入したものの、思ったような収入を得られないといった失敗事例は数多くあります。
投資や資産運用は決して悪いことではありませんが、リスクを考慮した使い方をしましょう。
健康を長く維持する
健康を維持することで、医療費や介護費の出費を大幅に減らすことができます。また、働きたいと思った時に第一に必要なのが「健康な体」です。
食事や運動など生活習慣に気を配りながら、楽しめる趣味を見つけるなどしてストレスを貯めない生活を心がけましょう。
熟年離婚
理由はどうあれ、熟年離婚したことで経済的リスクが高まり、老後破産へとつながるケースは珍しくありません。
年金分割制度がありますが、婚姻期間中の厚生年金や共済年金を対象とした制度です。自営業などで国民年金にのみ加入していた場合、年金だけで生活していくのは困難となります。
まとめ
年金受給者が経済的に日常生活に行き詰まってしまうのが「老後破産」です。年金受給額が減少すると予想される今後は、できるだけ早い時期から老後に必要となる資金を試算し、自分たちで準備しておく必要があります。
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